Gate24:プラハの安宿、受付嬢とのバトル

暗闇の明かり

 

「I hate you !」と、

 

美人女性に真顔で罵られた俺は、ベッドの上で意味をよく考えていた。

 

 

 

「I hate you 」???

 

 

 

 

 

そもそも俺が、遊び帰りの白人3人組と一緒に安宿に向かってんけど、

 

夜中やったから、入り口は鍵がかかっててん。

 

 

 

ほんなら、酔っ払ってた3人組は、入り口のドアを蹴りまくったり、

 

横に付いてたベルをやたら鳴らしまくってたんや。

 

 

 

 

しばらくすると、赤い髪をした小柄なチェコ系美人の登場や。

 

 

 

彼女がドアを開けたので、俺は3人組に紛れて入り込んでんけど、

 

もうその時点で赤髪の女性は、明らかに不機嫌やねん。

 

 

 

 

俺は、そんなん関係なくやっと見つけた宿に入れたことで、ほっとしてた。

 

当然3人組は、自分の部屋の鍵をもらうと、俺に「バーイ」と言って、

 

さっさと上の部屋へと上がっていきよった。

 

 

 

 

正面の受付カウンターにある小さな明かりだけが点いている薄闇の中で、

 

俺は明らかに機嫌の悪い女と、無言で見つめあっていた。

 

 

 

なんかしらんけどずっと黙ってたら、いきなり怒り口調で

 

「自分は部屋何番なん?」って聞いてきた。

 

 

 

「いや、今からチェックインしたいねんけど空いてる?」

 

 

「わかったわ。それじゃあ、朝の8時から受付してるから。」

 

 

「はぁ?そうじゃなくて今すぐ泊まりたいねん。」

 

 

「OK!8時になったら、また来て。」

 

 

 

 

あかん、こいつ泊める気あらへん。

 

 

 

 

「ベッド空いてんねやろ?」

 

 

「空いてるわよ。」

 

 

「ほんなら今から泊めてくれ。」

 

 

「受付は8時からやってますから。」

 

 

 

そう言い残すと、彼女はスタスタと歩きだして奥の部屋へ入ろうとする。

 

俺は急いで、彼女を引っ張って立ち止まらせ、改めて言った。

 

 

 

「あなたには関係のないことかもしれませんが、

 

 俺は宿がなくて疲れてんねん。今すぐ寝たいねん。

 

 今からチェックインできますか?」

 

 

 

 

すると、

 

 

 

 

「 I hate you !!

 

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なにゆうてるかわからへん。

 

いきなり表情変えて叫びだしよった。

 

 

 

女のヒステリーは怖いね。

 

 

 

 

結局、無事に泊まれることになった俺は、

 

ベッドの上で「I hate you !」の意味を考えていた。

 

 

 

 

I hate youて ”お前が憎い”とかそんな意味やんな。

 

憎い??

 

ムカツク、嫌い、憎い?

 

”憎い”て普通使わんやろ。

 

 

 

 

日本語でも憎いなんかゆわれた記憶ないのに、

 

外人に”憎い”なんて言われたもんやから、だんだんむかついてきた。

 

 

 

怒りのぶつけどころがなかった俺は、

 

暗闇のベッドで一人、うつ伏せになりながらジタバタ暴れていた。

 

 

 

 

俺の所持金あと1180ユーロ。

 

(約146,320円)