Gate19:老人に追い詰められる恐怖
戦車から大砲が発射されるシーン、
銃声が飛び交う最前線の状況が映されてある
貴重なビデオテープの使い途は、老人も同じはずだ。
老人はこのような形で、今までも収入を得ていたに違いない。
そんなことを考えていた迅が、ふと窓の外に目をやると
ホテルに走り込んでくる老人の姿が見えた。
日テレの事務所の中にいた迅達は、すばやくその場を離れた。
ユウは、非常階段を使い猛スピードで裏口へ向かった。
しかし、迅はホテルの正面ロビーへ向かった。
ユウを助けるために、、、、
もし老人が既に、各局をまわっていたならば
迅達がしたことが全て明らかになっているはずだ。
そんな状況でユウと会わすわけにはいかない。
ユウは必ず殺される。
自分もただではすまないだろう。
ロビーで迅を見つけた老人は、猛然と迅のもとへ駆け寄った。
「おまえら、えらいことをしてくれたな!
調子に乗りやがって。
あいつはどこへいった?」
老人の部屋がある安宿に連れていかれた迅は、
今にも壊れそうな、小さな椅子に座らされ
ネチネチと説教されながら殴られつづけていた。
後ろには、銃を構えた召使いがいる。
迅は抵抗できなかった。
老人は、ユウの居場所を聞きださない限り、
迅を解放しないだろう。
しびれを切らした老人は、右手で机の上にあった拳銃をつかんだ。
撃鉄をおこすと、カチリと音をたてて弾倉が回った。
迅の眉間に狙いを定める。
「これが最後の質問だ。
あいつはどこだ。」
「ま、まて、、、、」
迅は銃口を見つめながら、
自然に首がうしろにそるのを、止められなかった。
絶望が毒のように全身に回り、力を奪いとっていた。
しかし、ユウの居場所を言うわけにはいかない。
迅があきらめ目を閉じたその瞬間、
召使いが老人から拳銃をとりあげ、
迅を外に逃がそうと老人を押さえ込んだ。
その隙に迅は、部屋の外へとびだした。
無茶なことをしている老人に付き会いきれなくなったのか?
そんなことを思いながら、迅は走り続けた。
老人の叫び声だけが、迅の脳裏にのこっていた。
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